令和2年度も残り僅かとなり、学校では卒業式シーズンを迎えようとしています。この1年間は、これまで経験したことのない非日常の連続で、政治・経済・教育はもちろんのこと全国民が耐えることを強いられ続けた、未曽有の苦難の年となりました。新型コロナウィルス感染症発生後1年を経ても収束に至らず、第3波の様相を呈する中で2回目の緊急事態宣言が発令され、更に1か月間延長される事態となりました。2月に入りワクチン接種が医療従事者を対象に始められ、4月からは高齢者はじめ漸次一般国民へと実施される予定と発表されましたが、ワクチンの入手が計画通り出来るのか、自治体の体制は整うのか等、問題点を指摘する声も聞かれています。我が国では他の感染症の拡大事例の少なさや過去の薬害事案のため、国の財政支援も少なくワクチン開発が遅れているとの報道があり、とても残念な思いをしています。

こうした不安定要素の多い中にあっても、本校には地道な努力を積み重ねる生徒が多く、明るいニュースを届け関係者を勇気付けてくれる事例が数多くありました。コロナ禍で多くのスポーツイベントや競技会が中止又は延期される状況から、徐々に大会が開催されるようになり、不便な環境や時間の確保が難しい中でもひたむきに練習を重ね、3年生が体操競技・トランポリン・BMXの競技で日本一に輝きました。また、今年の3年生は前年に、ノルウェーでのダブルダッチ世界大会での優勝、インドで開催されたアーティスティックスイミングでの優勝、ライフセービング全国2連覇を果たしたメンバーが在籍し、これまでになく優勝者経験者の多い学年となりました。また、学業や進路面でも素晴らしい実績を挙げてくれました。一人1台のiPadを所有した最初の学年でもあり、3年間を経てスピード感のある情報量の多い授業が継続された成果や、校内進学塾の活用等が奏功して全体の学力向上が確認されるとともに、新たに導入された「大学入学共通テスト」においても高得点を挙げる生徒が増え、目標としてきた難関大学合格者が次々に報告される、画期的な成果が見られました。

「求めて学び・耐えて鍛え・学びて之を活かす」、「逆境は人を育て賢く強くする」、「弄花香満衣」、「憂きことの猶この上に積もれかし、限りある身の力ためさん」などの言葉を、機会あるごとに生徒に訴えてきました。また教員間で文武両道の精神を共有することで「生徒を理解し成長を期待して待つ」指導が実践され、目標に向かって努力する姿勢を大切にする気運が生徒の中に育まれていることを実感しています。校長としてこうした教育効果を高く評価するとともに、一層の活躍に期待感を強めています。3年生を送る季節を迎え、長い教職人生の中でも経験したことのない、つらい忍耐の日々はまだしばらくは続くものと思いますが、新型コロナに負けず実践力を発揮してくれた「逆境に強い3年生」に感謝の気持ちを持ちながら、学校を支え応援してくださる地域の皆様や、学校後援会、保護者会、同窓会の皆様とともに、彼らの活躍を祈り続け、気持ちよく3年生を送り出してあげたいと思うこのごろです。