世に言う「一流選手」とは、高いパフォーマンスを発揮して良い結果を出し、その根底には高い身体能力と技術、努力を継続する精神力や研究心を持ちつつ、自らを律し、多くの人から尊敬され愛される人間性をも有する人材、と言えば完璧でしょうか。

 しかし、スーパースターも元をただせば同じ人間であり、怪我や故障に苦しみ、精神的に落ち込むような弱さをも持ち合わせている筈であります。

 有力な選手がコーチ不在で力が発揮できなくなった例や、新しいコーチの指導で信じられない活躍を見せる選手が現れるという例は、決して珍しいことではありません。

 その意味でコーチは、高い専門性を持ち、常に冷静かつ客観的な視点で選手の状況を分析し、的確な判断に基づく修正やアドバイスを行い、選手が持つ高いパフォーマンスやモチベーションを引き出す役割を持つ、必要不可欠な存在となっています。

 現代スポーツでは最新のトレーニング理論が高いレベルで確立され、どの選手もフィジカルやスキル面で豊富な練習メニューをこなし、メンタルトレーニング(精神面)やミールトレーニング(栄養管理)もコーチや各専門家の指導を受けやすい環境が整ってきている実態があり、かつての「根性論」は影を潜める時代となっています。

 とりわけ、技術的要素の高い競技では、科学的トレーニングの導入が進み、年々高難度の技を競い合う実態が見られ、その分、選手の身体への負担が大きくなることで故障のリスクも高まり「怪我との闘い」が大きな課題となる競技があることも事実です。

 

 3月のテレビ番組でメジャーリーグ、シンシナチ・レッズのトレバー・バウアー投手がハイテク機器を駆使して変化球の習得に挑戦する、驚きの特集が紹介されました。

 彼は、エンゼルスの大谷翔平投手のスプリットボールが他の投手の同じ球種に比べ、打者の手前でボール5個分も落差が大きく「悪魔のようなスプリット」と呼ばれることに着目し、その球種をマスターしようと挑戦する内容でありました。

 バウアー投手は、運動力学の専門家の協力を得て、ボールの握りを少しずつずらしながら超高速度カメラで撮影し、自分の投球フォームで最も大きな変化を生む握り方が、ボールの中心軸から15度ずらした位置にあることを突き止めたというのです。

 その上で最大の変化と正確なコントロールを身に付ける投球練習を繰り返し、新しい魔球を手に入れたという、何ともしたたかなプロ根性を見る思いがした映像でした。

 一方で、学校やクラブチームでもこうした科学トレーニングの導入例は多く、フォーム矯正や技術習得、筋力・瞬発力・走力・持久力・動体視力・反射速度などを飛躍的に向上させ、国際大会等で大活躍する10代の選手の増加には驚くばかりであります。

 ICT機器やハイテク機器が容易に活用出来る時代となり、データ分析による効果的なサポートを行うチームやスタッフを持つ大学や高校のチームも珍しくありません。

 

 例えば、本校のトレーニング場に一流選手の身体機能データを掲示し、そのレベルを目標に努力してパフォーマンス力を高めることや、一般生徒が様々な機器を用いて選手の弱点を指摘し協働的に課題克服に取り組む活動は、比較的容易に実現できるでしょう。

 そこで「学校情報化優良校」の本校だからこそできる取組として、運動部に所属しない生徒や将来トレーナーを目指す生徒を中心に、様々な機器やソフトを駆使して競技力向上の支援チームを編成するシステムづくりに、大きな支障はないものと考えます。

 令和2年度は、文武両道を実践する本校にとって「一流選手が育つ環境づくり」を目指す年にしたいと思い、心ある生徒達の出現に大いに期待する次第であります。

 

 オリンピックの延期をネガティブにとらえず、競技によっては同窓生や高校生に大きなチャンスが残されているというポジティブシンキングに切り替え、ピンチをチャンスに変えるくらいの気持ちで「一流」を目指してほしいと思います。ガンバレ!エバラ!

 

校長 松田 清孝