栃木県益子町で行われた「菜の花・桜まつりフォトコンテスト」の企画に参加した本校アカデミックコースの3年生にインタビューを行いました。
イベントの企画立案から実施、現地訪問に至るまで、どのような思いを持って取り組んだのかを伺いました。

日体大荏原
Q:今回の観光イベント企画に参加したきっかけを教えてください。
A:昨年12月に行われた渋谷QWSでのワークショップで、益子芳星高校の生徒さんから益子町の現状を共有してもらいました。(テーマは「陶器市開催期間のオーバーツーリズムと、それ以外の期間の観光客数の差をどう改善していくか」でした。様々な意見が出ており、現実的なものから高校生ならではのユーモア溢れるものまでありました。)今回のイベントの元となるフォトコンテストというキーワードは、ここで私が出しました。あくまでも意見交流の場であったため、一旦終わると想定していましたが、当日メモしていたものを見返したときに『菜の花・桜祭り』の開催期間が迫っていることを思い出し、開花シーズンに合わせてフォトコンテストができたら…と思い、イベントの企画をしました。それが1月下旬で、先生が益子町の役場の方に連絡を取ってくださり3月頭にはオンラインミーティングを実施。そこから本格的に計画を立て、準備して4月5日からのイベントに間に合わせることができました。

Q:企画段階から関わる中で、特に印象に残っている場面はありますか?
A:どの経験も初めてで、とても勉強になりました。特に最初のオンラインミーティングの際に、担当者の方が高校生の私の企画をなるべく実現できるように意見を聞いてくださったことが嬉しかったです。なので、私も誠意をもって取り組ませていただきました。

Q:実際の準備や打ち合わせでは、どのような役割を担当しましたか?
A:周知用のポスター、チラシ、SNS投稿の作成。注意事項の検討や、ペットフード試供品のアポ取りです。現地の会場設営に関しては益子町の方に協力していただきました。

Q:現地に足を運んだ際の印象や、地域の方々との交流について教えてください。
A:私は初日(4月5日)に現地へ行きましたが、懸念していた桜の開花状況は四部咲きでした。会場の小宅古墳群は予想の倍くらい広くて、菜の花がとても綺麗に咲いていました。また、現地の方々が”オヤケコフンズ”としてボランティアで手入れされていたり、スタッフの方が一眼レフで写真撮影をするサービスがありました。家族連れや、ランドセルを背負った新一年生の姿もありとても和やかな雰囲気でした。小宅古墳群は地域の方にとって憩いの場であり、節目に訪れるような大切な場所であると感じました。

Q:高校生として地域の観光振興に関わることの意義を、どう感じましたか?
A:私自身、今までずっと東京に住んでいたので観光客側の視点で地方の魅力や課題を知ることしかしてこなかったので、まずは自分が今までに訪れた観光地や道の駅の特徴を考えることから入りました。その中に高校生が関与しているイベントはなく、益子芳星高校の生徒さんの活動がいかに地元愛溢れるものなのか改めて気付かされました。その地元愛が地域の人々の輪を繋いでいるようで、生まれも育ちも違う私なんかが介入してもいいのだろうかと躊躇いましたが、事前のやり取りから当日まで沢山の方に感謝の言葉をいただいて温かい気持ちになりました。きっと、現地の高校生も同じように地域の方から温かく見守ってもらえるからこそ、恩返しのように地域貢献をしているのだと思います。イベントの企画から実行までの実践的な経験を積むことができ、今後につながることがたくさんありました。

Q:今回の経験が、自分の将来や進路にどのように影響しそうですか?
A:大学進学を考えており、社会や福祉について学んでいきたいので今回の経験はとても大きな影響があります。内容もですが、周知用のポスターデザインを考えたり、企業の方と連絡をとることも良い経験になりました。

Q:今後、地域や社会と関わる取り組みがあれば、どんなことに挑戦したいですか? 
A:現在は『地方創生メタバースアワード』に挑戦しています。今回のイベントで、まちづくりについて興味を持ったので更に規模を大きくした「地方創生」に注目して、地域から社会全体の課題に目を向けようと考えたことがきっかけです。東京にヒト、モノ、カネが集中している状況であえて地方移住をする方も増えている昨今、地方創生というキーワードは行政も絡んで社会全体で取り組んでいるのですが未だに大きな改善はみられません。今年で成人だというのに、この実態をいままで他人事として捉えていたため選挙権を得る前に考え、行動するためにも『地方創生メタバースアワード』に本気で取り組んで学びたいです。

Q:アカデミックコースでの学びが、今回のイベント参加にどのように活かされましたか?
A:主に総合探究の時間に得た知識や、プレゼン力が活かされました。イベント企画時と、打ち合わせの際に自分の企画なので一人で説明する必要がありました。その順番や話し方に注意しました。

Q:今回の企画を通して、地域の方々との交流はありましたか?印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
A:滞在中はドッグランの近くに居たので利用者の方とコミュニケーションをとることができました。中にはインスタグラムの投稿(周知用のもの)を観てわんちゃんを連れて来ることにした。という方がいらっしゃって、更にフォトコンテストにも応募していただいて本当に温かい気持ちになりました。


日体大荏原
実際に提出した企画書


地域の魅力をどう伝えるか。課題にどう向き合い、どう解決に向かうか。高校生の視点からまちの未来を真剣に考え、地域の方々とともに行動しました。ワークショップで出たアイデアをきっかけに、実際のイベント開催に向けて仲間とともに準備を重ね、役場や地域住民との丁寧な対話を通じて形にしていく姿は、まさに探究学習の成果を社会につなげた実践的な取り組みでした。現地での交流や、来場者との何気ない会話の中にも、地域を想う人々の温かさや、まちの文化の奥深さを感じ取ってくれたようです。そして何より、「自分の行動が誰かの笑顔につながる」という実感を持ったことは、これからの学びや進路にきっと大きな意味をもたらしてくれるはずです。

本校では、こうした“社会とつながる学び”をこれからも大切にしていきます。挑戦を通して得た気づきや感動を胸に、さらに成長していく生徒たちの姿を、今後も応援していきたいと思います。お世話になった益子町の皆様、ありがとうございました。