7月3日(土)に静岡県熱海市で発生した土石流による被害は、7月15日現在で死者11人、行方不明者16人、被災棟数131棟と発表されています。尊い命を奪われた方々に心から哀悼の誠を捧げますとともに、被災地の皆様にお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興をお祈りするものであります。

近年、全国で局地的大雨による災害が発生し、「線状降水帯」という気象用語が平成26年の広島豪雨から頻繁に使用されるようになったと言われています。

これは、激しい雨を降らせる積乱雲が次々に発生し、線状に連なって一定の場所に数時間とどまり、記録的な降水量をもたらし災害を引き起こすというものだそうです。

多くの組織や関係機関が現地で行方不明者の捜索や復旧作業に当たっています。

自衛隊、消防、海上保安庁、警察、内閣調査チーム、総務省、国土交通省、環境省、林野庁、気象台、日本赤十字、DMAT(県・市)、県建設業協会、県産業廃棄物協会等が総力を挙げて、捜索活動や復旧活動、原因究明などに当たっていると発表されました。

地震や大雨などによる災害は、都心部においてももはや他人事ではなく、排水困難等の都市型水害による地下空間の浸水や小河川の氾濫、交通機関のマヒによる「帰宅困難者」の大量発生などは、実際に多くの事例がその深刻さを物語っています。

災害発生時には、自分で自分の命を守ることが大原則ですが、その後のライフラインの確保や傷病者の救護等においては、互いを思いやり助け合う「運命共同体」としての意識が不可欠であると思います。特に災害弱者とも言える子どもや高齢者への温かい心遣いは、どのような状況にあっても失いたくないと私は思っています。

「子供叱るな来た路じゃ、年寄り笑うな行く路じゃ」という言葉があるように、子どもは過去の自分であり、年寄りは未来の自分であると思えば、優しくできるでしょう。


話は変わりますが、アメリカのメジャーリーグで大谷翔平選手が打者として大活躍しホームラン数でトップを独走し、投手としては100マイル(161㌔)超の剛速球と、悪魔のスプリットと呼ばれる切れ味鋭い投球で日本はもとより全米を沸かせています。

二刀流で出場したオールスター戦では、1番DH・先発投手として登板し1イニングを3者凡退で切り抜け、アメリカンリーグの勝利投手となりました。

そのような中で、大リーガーを代表する高額年俸の選手でも、大谷選手の活躍を「アメージング」と表現し高く評価するとともに、「彼の活躍が野球界にとって大きなプラスになる。野球離れが見られる中で、子どもたちに夢を与えることになるだろう。」と発言し、大リーグ選手として共栄するため、ライバル意識を超越して大リーグの発展を最優先したコメントを発信していることに、メジャーの歴史の重さを感じた次第です。

怪我や手術を乗り越えた4年目の活躍に、世界中から賞賛の声が聞かれます。

メジャーの歴史を次々に塗り替える大谷選手。しかしその姿勢に驕(おご)りの隙は寸分も見られません。オールスター戦の直前にもグラウンドのごみをそっと拾い上げ、ポケットに入れる自然な行為がカメラに収められ、人間として高い評価を受けています。

野球選手としての評価にとどまらず、チームの仲間やファンを大切にし、野球を大切にする姿勢は、競い合うライバルをも巻き込み、共に発展しようという意識を高める効果を生んでいるように見えます。共栄の心が人種や宗教、言葉の垣根を越えて輪を広げつつあるように感じるのは、私だけではないと思います。

過大な期待を寄せては大谷選手の負担になるかもしれませんが、現段階では人気と実力はまぎれもなくトップレベルにあり、野球界の救世主的存在感を放ち、我々日本人にとっても誇りに感じる存在であります。
朝早い時間から、 彼の一挙手一投足に目が離せない日がこれからも続きそうです。