平成30年3月に内閣府が公表した「青少年のネット利用環境実態調査」によれば、高校生のスマートフォン利用率は95.9%、インターネット利用率は94.1%、中学生は同58.1%と54.6%、保護者のスマートフォン利用率は84.8%という驚きの結果でした。
言い換えれば、高校生のほとんどが「手のひらサイズパソコン」を常に持ち歩き、携帯電話機能に加えてwi-fi環境があればどこでもネット情報にアクセスでき、ショッピングや検索、音楽や動画視聴を楽しむなど、ICT(情報通信技術)機能を高いレベルで使いこなし、日常生活に不可欠なアイテムとなっている実態が明らかになりました。
古希まで3年となる私もスマホとの付き合いは7年になりますが、機能全体のほんの一部しか使用していない状況で、若い人の順応性には驚きです。
私がよく使うアプリは検索(サファリ)、ニュース、乗換案内、家族ライン、教員共有ツール(校務予定)等で、3画面に並ぶ多くのアプリは活躍の場が少なく暇そうにしております。
様々なジャンルの検索で、辞書を開くよりも簡単かつスピーディーに情報を入手でき、安易にスマホに頼る習慣が身についてしまい、生徒より自分を戒めなくてはと思いますが、文明の利器の日進月歩の発達に恐ろしさを禁じ得ない昨今であります。

本校では文科省が推進する「学校教育でのICT活用による確かな学力の育成」を受け、主体的・協働的な学習(アクティブラーニング)の導入に向け、iPadを活用したスピード感と情報量の多い授業をスタートさせるとともに、教職員や生徒・保護者との連絡や連携等にも高い機能を発揮している実態があります。
国の実態調査から予測できるように、高校生の機器への適応の速さ、関心の高さは目を見張るものがあり、抵抗なく導入することができました。
その操作レベルや授業内容は今後、加速度的にレベルを上げることが予測され、教員の研修も必須となります。
既に私達を取り巻く環境はICTを基盤とした情報社会になっており、生活の中でこうした機能を活用できるか否かは、生活を豊かにする必要条件となる可能性があります。
さらに大学入試等での導入の可能性も含め、ICT化は避けて通れないものと考えます。
一方で、SNSによる個人の誹謗中傷や有害サイトへのアクセス、ゲーム依存、不法な高額料金請求等の被害にあうケースも多く、情報リテラシー(情報選択活用能力)を養成する指導も学校教育の一環として極めて重要でありますことから、教科「情報」や生徒の集会等でさらに危機管理意識を高めるべく指導の充実を図っております。

 調査ではネット利用の家庭ルールについて、高校生の50%、中学生の69%があると答えていますが、保護者では高校70%、中学85%があると答え、意識の違いが大きいことが分かります。
家庭でのルール作り、利用状況確認等に期待の声が聞かれます。
笑い話のようですが、最近の大学生が卒業論文の作成に悪戦苦闘するということを大学関係者から聞きました。
それは、スマホばかりいじってパソコンを使わなくなり、キーボード配列に慣れていないため、入力に時間がかかり苦労するのだそうです。
確かに素早く器用にスマホを操作していますが、キーボード入力とはまさに「手法」が違います。
しかし若い世代の適応能力は素晴らしく、就職して必要に迫られたら、あっという間にブラインドタッチをマスターすることだろうと思います。
この10年間でも夢のような機能が開発され、大きな恩恵を受けていますが、さらに今後どのような新機能が生まれるのか、SFアニメが現実になるような興奮を覚えます。
しかし、ICT社会に生きる我々は常に現実を冷静に見極め、人間が作った機器に操られることなく、利便性向上や幸福のための活用能力を高める努力が必要だと考えます。

校長 松田 清孝