人は誰でも、スポーツや演劇、映画などの観戦・鑑賞を通じて、感動を覚え、涙を流し、明日への意欲や勇気、そして期待を抱いて、日々を過ごした経験がある筈です。
 最近では、平昌オリンピックで金・銀・銅メダルの高木美帆選手をはじめとするスケート選手の活躍や、大けがを克服して連覇したフィギュアスケートの羽生結弦選手、ほのぼのとしたチームワークで日本初のメダルを獲得したカーリング女子などの話題は、日本中を熱い感動で覆い尽くし、凱旋パレードは人・ひと・ヒトで賑わいました。
 2年後には、半世紀ぶりとなる東京オリンピック・パラリンピックがやって来ます。
 日本代表選手の活躍に向けた選手強化はもとより、多くの訪日外国人の受け入れ体制、とりわけホスピタリティーの在り方も大きな課題になると思います。
 東京のみならず、各地で通訳ボランティアや案内板設置などが必要になるでしょう。
 今年1月、観光庁は2017年の訪日外国人数を、過去最高の2869万人と発表しましたが、中でも中国・韓国はともに700万人を超える大口の訪日国で、国際ニュース等で耳にする政治や国民感情とは違う、大きなギャップを感ずる実態が見られています。
 ともあれ、世界で一番安全で安心な国と言われる日本でありますが、さらに多くの外国人に日本の素晴らしさをアピールする、絶好の機会を迎えることになるでしょう。
 海外の人たちに「wonderful」と感じてもらうためには「full of wonder」である必要があると考えます。そして、それは現代人が失いかけている「おもてなしの心」や「琴線に触れる感動」という形で、実践されるべきであると私は思っています。
 そのヒントは意外に私たちの身近にあり、お客様を大切にするリゾート地などの接客理念には徹底したものがあります。一例として、世界4か国7か所のディズニーランドでは至れり尽くせりの「おもてなしの心」がよく話題になることで知られています。
 ゲスト(お客様)最優先の理念の下、夢や憧れを大切にするため、様々なアイデアや工夫が取り入れられ、キャスト(従業員)が全力を尽くします。以下に例を挙げますと、
① ゴミひとつない清潔な園内で、心が洗われるような新鮮な気持ちを経験できる
② 迷子が出ても園内放送はせずに、キャストの連携で家族を見つけ出すチームワーク
③ 地震などの際、キャストの判断で食べ物・タオル・帽子・雨具など、ゲストを守るために必要なものを惜しげなく与えるなど、危機管理対応が許容されている
④ 風船が手を離れ舞い上がり泣く子供に、近くのキャストが「ミッキーが魔法で取り返してくれたよ」と代わりをプレゼント、子供はミッキーの虜(とりこ)になる
⑤ 二人の夫婦がレストランで定食とお子様ランチを注文、子供を事故で亡くしたと聞いたキャストは、子供椅子を間に用意して、「三人でごゆっくりお召し上がりください」と配慮、夫婦はその言葉に感涙し、新聞に投稿して有名な話となった。

他にも枚挙にいとまがないほど心温まる話は多く聞かれますが、私たちの生活でも、ほんの少し気を利かせば、相手が感動して互いの心が通じ合うチャンスは多いものです。
 その意味で「wonderful」はお金や物ではなく、心の持ち方で作れるものなのです。
 さて、皆さんの周りに助けが必要な人はいませんか?一声掛けてあげれば、感謝してもらえる人はいませんか?そして、あなたは「full of wonder」に気付いていますか?