ブログの冒頭に手前味噌の話で恐縮ですが、ICT関連の嬉しいニュースが届きました。それは、日本教育工学協会(JAET)学校情報認定委員会の審査において、本校が「学校情報化優良校」に認定されたのです。この認定基準は「情報化の推進体制」、「教科指導におけるICT活用」、「情報教育」、「校務の情報化」とされ、本校が取り組むiPadを活用した授業やデータ管理の水準が、高いレベルにあると認められたことになります。本校では、1,2年生の生徒全員が一人1台のiPadを持ち、授業や宿題、HR活動や部活動遠征先での学習、家庭連絡などで多様な有効活用が推進されるとともに、スクールマスターの整備により様々な情報が高い精度で、かつ安全に管理されております。教職員は、2年以上にわたり研修を重ね、基本操作からデータ作成、情報共有や相互通信などのテクニックをマスターしています。7月のオープンスクールでは、ICT教育の実態をご覧いただく企画とし、多くの中学生と保護者の皆様をお迎えすることができました。個々がiPadを持つことで授業への意欲と集中力が高まり、スピード感ある授業や情報量の増加、そして何よりも生徒の驚くべき順応力の高さが確認されています。

 

今から20年程前、中国の教育事情視察として上海市内の先進教育を実践する幼稚園を訪れた時、私は大変なショックを受けることになりました。それは、選ばれたスーパーキッズがすさまじい速度でパソコンのキーボードを操作する実態でした。この光景は、高さ468mの東方テレビタワー(当時日本では東京タワーが最高)や未来都市のような上海中心街に度肝を抜かれた私にとって、それらを上回る衝撃的事件でした。当時は教員でさえ、パソコン操作のできる人が少ない頃だったのですから。

 

東京オリンピック開催を控えた我が国では、新しい小学校学習指導要領総則、第3の1「主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の(3)「情報活用能力の育成」として、コンピュータで文字を入力するなど基本的操作の習得とプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付ける、と明示されており、いよいよ小学校でICT教育が必修となり、実践されることとなりました。小中高の新しい学習指導要領では、「基礎的な知識や技能を習得するとともに、思考力、判断力、表現力を育成し、主体的かつ協働的な学習態度を養うこと。」が一貫して示されていることが大きな特色となっています。

 

生まれた時からコンピュータやスマホに囲まれ、何の抵抗もなく手にして遊ぶ習慣を持つ小学生の子どもたちには、違和感なく取り組む楽しい授業になるものと思います。
私の4歳になる孫は、私のスマホを見つけると機関車トーマスを撮影した画像がラインにあることを知っており、勝手に開いて見ています。それが今時の4歳です。私が幼い頃は周りのどの家にもテレビがありませんでした。この半世紀の科学技術の進歩が、孫が高校生になる頃にどこまで発展していることやら私には想像がつきません。冒頭でご紹介したように、私自身が毎日iPadで連絡事項を確認し、職員会議もペーパーレスが常態化しており、新入生オリエンテーションの校長メッセージは事前に生徒のiPadに送信され、生徒は訓示の内容を繰り返し読むことが出来ます。

 

こうした時代の変化を先取して、本校では従来の学習の形態を大きく見直しながら、生徒の持つ優れた能力を引き出し、「求めて学び・耐えて鍛え・学びて之を活かす」精神を養いつつ、社会貢献を果たす有為な人材を輩出することを目指しております。授業を見学された在校生の保護者が「こんな進んだ授業を受けていることに驚き、感激しました。」と感想を述べられた言葉が、教職員の意欲を強く支えてくれています。


校長 松田 清孝