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12月校長ブログ「令和の流行語大賞『ONE TEAM』に思う」

2019/12/04 校長ブログ 令和に入って最初の流行語大賞に「ONETEAM」が選ばれました。
ラグビーワールドカップ日本大会で、日本ラグビー界初のベスト8に輝いた代表チームのスローガンであり、厳しい強化合宿を家族のように過ごして築いたチームワークと闘魂で、強豪国を次々に撃破する快進撃に世界は驚き、国内は大盛り上がりとなりました。
日本代表チームは7カ国の出身者で編成され、キャプテンはニュージーランド・クライストチャーチ出身で2013年に日本国籍を取得したリーチ・マイケル選手が努めました。
彼は15歳で札幌の高校に留学しましたが、その1年後に祖国の実家が火事になり、思い出の写真など全てを失いました。
しかし、家族が無事だと聞くと、彼は帰郷を勧める周囲の声に耳もかさず、日本に残って直向きに猛練習を続けたということです。
この時、高校の監督や仲間たちが募金活動を行い、集まったお金をマイケル選手に内緒でニュージーランドのご両親に送ったのだそうです。
後にそれを知ったマイケル選手は感激し、自分は日本でラグビーを続け、日本の人々に恩返しをすると決意したのだそうです。
やがて、大学、社会人を経て実績を積み、祖国から代表選手のオファーを受けても断り日本でプレーを続けました。日本国籍を取得した彼は、晴れて日本代表として2度ワールドカップに出場することとなり、今回の快挙につながったのです。
「武士道」や「覚悟」という言葉が大好きで、国のため、仲間のために全力を尽くし、チームの団結力を大切にする彼こそ「ONE TEAM」の言葉に相応しい選手だと思います。

ラグビーと言えば「One for all ,All for one」(一人は皆のため、皆は一人のため)の言葉がすぐに思い起こされます。
それぞれの役割を持つ15人が、仲間やチームのために全力を尽くして戦い、ノーサイドになれば敵味方なく讃え合い、互いをリスペクトするという精神は、激しい身体接触を伴うだけに紳士然とした清々しさを感じさせるスポーツです。
この精神は単にスポーツの世界だけでなく、我々の日常生活や政治の世界でも重要です。
 多くの人が秩序を保ち、安心して生活し、感謝の心を持って家族のように接することが出来るならば、無用な争いやいじめ、トラブル等も未然に防ぐことが可能になる筈です。
  
私の好きな歴史人物に、西郷隆盛と大久保利通がいます。
幼くして薩摩の郷中(ごじゅう)教育で切磋琢磨し合い、新たな国づくりに一心同体となって取り組んだ二人は、大久保の海外視察帰国後に征韓論の是非で袂を分かちます。
(尤も西郷は征韓論ではなく遣韓論でありましたが…) もし、この二人が仲たがいせずに「ONE TEAM」として明治新政府に残っていたら、より強固な組織を確立出来たであろうし、大久保襲撃事件や西南の役も無かったことでありましょう。
そして日本はもっと早い段階で世界に冠たる近代国家として違った発展をしたかもしれないと、書籍「大久保利通」(倉山満著)を何度も読み返しながら無念に思った次第であります。
鹿児島に旅した時、地元の人から西郷の人情話は多く聞けましたが、大久保の名を聞くことはありませんでした。
新政府の要人として産業の発展と国力増強を推進し、諸外国に屈しない強い国づくりが日本のため国民のためだという強い信念に燃える大久保は、一方で独断専横的な改革者とみなされ、新政府に不満を持つ一部旧士族には許しがたい存在と映ったのです。
新政府打倒に蜂起する反乱が全国各地で起こり、薩摩では私学校生徒の暴走に西郷が担がれ、大久保は新政府の立場で鎮圧せざるを得ない状況に至りました。
常に背中合わせで運命を共にしてきた竹馬の友、最強の友との間に、取り返しのつかない悲劇が起きてしまいました。
大久保が考える「ワン・フォー・オール」が「オール・フォー・ワン」に発展するには、あまりにも急激な改革と情報通信手段の乏しい時代背景がそれを許さなかったのです。
新政府に残った西郷の弟従道に対して大久保は「西郷さんにはあの世で謝るしかない。後世に誤解を招かぬよう私にしかわからない西郷さんの伝記を残す。」と言いながら、目的を果たすことなく西南の役の翌年、紀尾井坂で不平士族数人に襲われ、その生涯を閉じました。
このように「ONE TEAM」は様々な形で語ることが出来る言葉であると思います。

人間関係が希薄になりがちな現代社会において、今年「ONE TEAM」が大賞に選ばれたことが、国際社会をはじめ、国内や身近な地域社会など、日々の生活の中で発生する諸問題に対しても、一石を投じる役割を果たすことになってくれたら嬉しいと思います。

校長 松田 清孝