※今回は10月の全校朝礼で生徒に訓示として話した内容を紹介させていただきます。

 

○始業式では野球部の3年生が甲子園球場で観戦後、スタンドの掃除をして一般客が感動したという話、横断歩道でバイザーを飛ばされたご婦人に拾って差し出した3年生の話を紹介して褒めた。先輩たちの善行をよい手本にしてほしいと思ったからである。

 

○3年生は進路決定の大切な時期であるが、既にAO入試などの結果が届いている。特に日体大の学科AOでは、昨年を大きく上回る合格者を出すことができた。3年生の頑張りが一番大きいが、献身的に指導してくださる先生方の指示を理解し、真剣に努力した結果である。生徒と先生方双方の努力を高く評価したい。今後入試を迎える人も、平常心で試験に臨み、力を発揮して栄冠を掴んでほしい。「荏原祭」が近づいているが、その後には中間考査も控えている。落ちついて授業に臨み、3年生の高校生活最後となる文化祭を「百花繚乱」の合言葉の下、全生徒の力を結集して成功させてほしい。トラブルがあれば「文化祭成功」とは言えない。

 

○千葉県では台風15号の爪跡が大きく、停電は解消したがゴルフ場の支柱倒壊による家屋損壊への対応が遅れている。被災地の皆様には一日も早い復旧・復興を祈りたい。今回の台風は強風を特徴とし、送電線や電柱の倒壊等により停電が広範囲かつ長期にわたり、医療機器が使用できずに患者が危険にさらされ、家庭の電気製品も使用できず、熱中症のリスクをはじめ生活に多大な支障が出た。

 

○我々が今回の被害から学ぶべきことは、「明日は我が身」ということである。同様の災害がいつどこで発生しても不思議ではないということを覚悟しなくてはならない。文明の利器も「停電により機能停止」となれば、スマホや携帯の充電も出来ないし、食べ物の保存も出来ない。高度に発達した機器が意外な弱さを露呈した結果となった。

 

○最後に、非常時の救急救命に関する話を紹介する。1981年、フランスのモーリー・カーラーが提唱した「カーラーの救命曲線」という理論があり、簡単に言えば人の命を救う時間の限界、という内容である。命を救うには一秒でも早い方が良いことは当然であるが、被害の状況によっては救命の時間に限界と考えられる特長が示されている。

 

○この論点から生まれた言葉に「ルール・オブ・スリー」という理論がある。「3(さん)の法則」とも呼ばれている。
①重度の出血、低酸素状態、氷水の中などでは3分が限界
②高温、極寒の急激な体温変化の環境では3時間が限界
③水を全く飲まない状況では3日が限界
④何も摂取しない状況では3週間が限界
以上が3(さん)の法則である。一般的には救出まで「72時間の壁」があるという理論もあるが、3年前には北海道で7歳の男子児童が山中で行方不明になり、6日後に救助された例がある。
山梨県で不明になった千葉県の小倉美咲ちゃん(7歳)もどこかで命をつないでいることを信じ、一刻も早く無事に発見されることを祈りたい。


校長 松田 清孝